多くのスポーツでは筋トレ・基礎体力トレーニングが重視されている一方で、ヨット、セーリングではプロやオリンピッククラスの選手を除き、”体力づくり”の部分が軽視されているように思います。
確かに、インカレやインターハイを見れば、女子ペアが健闘していることもしばしば。つまり、筋トレ以上に海の上での経験や座学、理論の習得が重要なことを示しているとも言えるかもしれません。
しかしながら、サバイバルコンディションや冬季練習など、ヨットは思った以上に体力、そして精神力を使います。肉体と精神は表裏一体で、どちらも強固なものでないとレースで勝つことは厳しいでしょう。
今回は、日本のオリンピック強化委員会が推薦する筋トレ方法を解説しつつ考察します!
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筋トレの必要性
東京オリンピック470級女子代表の吉田愛選手(スキッパー)は、セーリング競技について、「フルマラソンしながらチェスをするようなもの」と表現しています。つまり、それだけ知力、体力、精神力を使う過酷なスポーツであると、トップの選手も表現しています。
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このようにハードコンディションに耐えうる体作りが求められますね。
特にスタート直後のクローズホールドで疲れてしまい、ランニングでパンピング等の体力が残されていないといったことになると絶望的です。
日本セーリング連盟はどのようなトレーニングを推奨しているのか?
実は日本セーリング連盟のオリンピック強化委員会は非常にシンプルな筋トレ・体力トレーニングの項目を打ち出しています。以下の6つです。
- 腕立て伏せ
- 斜懸垂
- 上体起こし
- 立幅跳び
- 反復横跳び
- シャトルラン
中学・高校の体育で行うようなものばかりで非常に手軽です。逆に言えば、これが本当に基礎となるため、基礎を疎かにしてはいけないことがわかります。
具体的なトレーニング法は?
具体的なやり方が解説されているため、画像つきで引用していきます。
腕立て伏せ
ポイントはフォームが崩れるまで、1秒ごとにUP/DOWNを繰り返すことです。
腕立て伏せの方法は多様なのですが、瞬発的に繰り返すことで、速筋を意識したメニューになっています。
斜懸垂
こちらもポイントはフォームが崩れるまで、1秒ごとにUP/DOWNを繰り返すことです。
470クルーにおけるO旗掲陽時のボディパンプ動作に似ています。
ハーバーでオリンピック選手が同様のトレーニングを着艇後や赤旗の時に行っておりましたので、部活に取り入れても良いかもしれません。
上体起こし
こちらも素早さが求められます。
立幅跳び
意外とするーされがちな立ち幅跳びですが、基本的な跳躍能力はもちろん反動を付ける際の柔軟性、着地の際の平衡感覚など身体全体を上手く使う巧緻性が求められることから、ヨットに必要な能力と言えます。
反復横跳び
反復横跳びは敏捷性を鍛えるトレーニングです。
シャトルラン
シャトルランは全身持久性を調べることができます。この能力が高いと一定の強度の運動や作業を長く続けることができます。すなわち、強風クローズなどに耐えうる体作りを目指しています。
筋トレの目標値は?
出典:http://jsaf-osc.jp/fitness/index.php
世界のセーラーはどんなトレーニングをしている?
今回はギリシャ470女子チームのトレーニング風景を紹介します。
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体幹トレーニングのプランクをベースに行っているようです。
個人的にはオリンピック強化委員会の奨励する6項目、体幹トレーニング、持久走(5km)程度を普段の合宿メニューに組み込むと、非常にバランスの良いトレーニングになるのではないでしょうか。
具体的には、ハーバーまでランニングする、朝食前のランニングや着艇後のランニングを取り入れつつ、合宿所でベーストレーニングをしていくのはいかがでしょうか。
ぜひこうしたトップセーラーのトレーニングを参考にしてみてくださいね。
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